奈良県某所 陰森の廃墟編 [page3]



 玄関から中に入ると、いきなり多量のゴミ袋が目に入りました。

 玄関のガラスが割られているので外からの空気で換気されているのか臭いはあまりしません。

 只、絶対に踏みたくは無いので気をつけて進む事にします。



 まずは恒例のトイレですが、廃墟のトイレとしては綺麗な方です。

 トイレが綺麗なのは廃墟があまり荒らされていない証拠だと思いますが、事実は定かで有りません。



 リビングですが、床一面にウレタン屑のような物が散乱しています。

 内部はそれほど荒らされた様子も無く、廃墟特有の落書きも見当たりません。

 先に見てきた建物と比べると建物もあまり傷んだ感じはしませんが、天井はかなり腐っているらしく一部抜け落ちています。

 壁紙を剥がしたら天井は既にボロボロなのかもしれません。



 多くの廃墟を訪れましたが、生活用品の残されている廃墟は意外に少なく、何も無い場合が多いのですが、この廃墟には結構残されているようです。

 生活感の有る廃墟は生々しさを感じますが、この廃墟も例外ではなく生々しさを感じます。

 只それ以外にも、普通では無い生々しさを感じますが、気のせいでしょうか・・・



 今も何者かが生活しているかのように布団の敷かれた部屋を発見しました。

 部屋の中には布団の他にも空のペットボトルや傘、椀等有りますが、どう見てもペットボトルはまだ新しく最近持ち込んだ物としか思えません。

 そう考えると、にわかに緊張が高まります。

 「この廃墟には何者かが潜んでいるかもしれない・・・」

 ついついそう言ってしまいましたが、言葉に出すと緊張は恐怖を誘い人をパニックにさせるので、女性用の下着がコタツの下に有る事から、ここで恐ろしい事が行われたのではないかと想像しましたが、それは言わずに呑み込む事にします。

 何者かが潜んでいる可能性を考慮した私達は、何者かの突然の襲撃にも対処できる様に、微かな物音や気配も漏らさぬよう、神経を集中させつつ探索を続ける事にします。



 閉まっているふすまを何者かがいない事を祈りつつ、緊張しながら開けましたが、とりあえず誰もいない様なのでホッとしました。

 先程の部屋と同様、あまり広くないこの部屋の中には片隅にタンスだけが置かれているだけでした。

 寝室として利用されていたのでしょうか?

 タンスは全て開かれており、中にはゴミ以外は何も残されていませんでした。



 キッチンですが、少々の調味料と食器類が無造作に置かれていますが、何故か調理器具は殆ど残されていませんでした。

 新聞紙で包まれた一升ビンが有ったのですが、その中には何か得体の知れない物が入っていましたが、何だったのでしょうか・・・

 気持ち悪いです・・・・

 お見せ出来ないのが残念です。。



 何者かが潜んでいるかもしれない恐怖と、狂気に満ちた異様な雰囲気、そして嫌な霊気、どれをとってもこの廃墟は普通では無いような気がしてきました。

 この傷んだ部屋の中からも何者かに見られている感じがしますが、それが生きた人の視線なのか、霊的なものなのか、気のせいなのかさえ確信できなくなってきました。

 少しパニックを起こしているのでしょうか・・・



 この廃墟は廊下が狭く扉が多いので、何者かが何処からともなく突然襲い掛かってきそうで怖いです。

 少し神経過敏になり過ぎているのかもしれませんが、とても気楽に探索できるような雰囲気では有りません。

 実際はもう帰りたいくらいです・・・

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